声かけ5日目
今日もいつもと同じ駅で女性に声をかけた。
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声かけ数: 103
今日は、家を出る前に体がなかなか動かなかったのだが、なんとか外に出ることができた。
何にでも言えることだが、継続が一番難しい。私はこれまでの人生で、筋トレやジョギングなどを思い立っても、継続できた経験があまりない。ほとんどの場合で、途中で挫折している。
今回のナンパに関する試みも、まさしく習慣を作ることがまず第一に大切で、それができないと同じく挫折してしまうだろう。
そこで、今日からは意識的に、声かけという行為にドーパミンが発生するような仕組みを独自につくり、実行していくことにした。
実は以前からやっていたのだが、なんとなく忘れがちになっていた。
その仕組みとは、声をかけた後に何かしらのポジな反応、ニュートラルな反応があった場合には、「よし!」と小さくガッツポーズを作って喜びを噛みしめるというシンプルなものである。
そして、会話以上の交流を禁止する。
実力がないのに、会話以上を狙うスタンスで声かけをしてしまうと、「もっとうまくやってれば、もしかして楽しい会話ができたのかな?」という後悔がチラつく。そんな状態だと、反応を得るという目的だけでは、ドーパミンの発生が弱まるからである。
このように仕組化すれば、声かけ自体が、反応が得られた成功で、無反応なら失敗、というシンプルで中毒性を持つゲームになる。
だから、決して実力に見合った段階より先に進もうとはしない。現在の私は CT 値 3 までの声かけしかしないという制限を自らに課している。
PCRテスト, CT値とは?
PCR とは、P(ポジ子さん)C(チェック)R(リサーチ)の略称である。PCR テストとは、声かけにおいて、1 秒単位で 10 秒までセリフを区切り、反応の良い陽性者(ポジ子さん)をあぶりだすテストのことをいう。0 秒~10 秒までを CT 値 ? として表す。
慣れてきて物足りなくなったら、次の段階に進めばよいのである。
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駅に到着してから、まずは深呼吸を何回かして体の中心軸を通した。そして、 CT 値 1 の声かけを 10 回くらい行って準備運動をした。それだけで、一気に体が軽くなった。
次に CT 値 2 で、40 回くらい声かけをした。これで、もう家を出る前にだらだらしていた自分が嘘のように、体調が良くなった。
残りの 50 回程度は、CT 値 3 にしてみた。その内の後半では、語尾に「?」をつけるようにして、負荷をさらにあげてみた。
やはり、相手に質問を投げかけると目立つ半面、反応率も上がった。
実際に、覚えているだけで 3, 4 人くらいはこちらに少しの興味を持った様子で、陽性反応を示した。
陽性反応を示しても、人間違いのフリをしてスッとこちらから離れる。こうすれば、相手に悪印象を残さずにその場を立ち去ることができる。
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100 人の声かけが終わって駐輪場に向かっているとき、とうとう開き直りの境地に達した。「もう、誰に見られてもいいや」という、諦めが混じった清々しい気持ちだ。
その後、通りかかった美人の 2 人組に、何気ない気の抜けた声かけをしてみると、凄くニュートラルな反応をもらえた。2 人とも可愛くて、それだけで嬉しかった。
この「開 き直り」という現象は、100 人に声をかけるということを 5 日間継続してきたことで、自分の心身がナンパという行為を受け入れ始めている兆しのような気がする。
家元は「百(ひゃく)人に声をかければ飛躍(ひやく)する」と言っていて、その意味がわかった。
これまでの自分は気負いながら数人から十数人に声をかけて、それが自分の限界だと思い込んできた。だが、それではむしろ逆に辛くなってしまう。
試行回数が少ないために、一日に出会えるポジ子さんの数も極端に少なくなり、あるいは全く出会えないので、何のためにナンパをしているのか、わからなくなってしまうのである。
それなら、CT 値を最低限にして 100 人以上に声をかければいい。100 人に声をかければ、それだけで自分の心は解放されていくし、少なくとも数人はポジ子さんと出会えて、その一日は満足感を得られる。
100 人に声かけをすれば、セリフも微調整できて、研究が捗る。そして、これがおもしろい。1 つ 1 つの言葉を微調整し、声のトーンや姿勢も色々試せる。別に会話やセックスをしなくたって、この研究だけで十分に楽しい。
そうしていくうちに、声かけはただの試行になる。なんのプレッシャーを感じる必要もない。単なる実験であり、その結果を集積していくことが目的になる。そして、その積み重ねにより、声かけは自然に上達していくはずである。